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童話『カワセミの子とカエル』 3

それを聞いていたカワセミは、さっきまで自分が当たり前のように自由に飛び回っていた間に、親切なカエルがこんな所で、こんな風な気持ちになっていたのかと思うと、いたたまれなくて、哀しくなってしまい、ぼろぼろぼろぼろ涙を流しながら、そのサファイヤの小さな翼でカエルの背中を覆いました。
カワセミは一生懸命に翼を広げて、カエルが少しでも楽になれるようにと願いました。
そしていつもカエルと遊んでいたシトマ川も、この様子を見て、シャランシャランと泣きました。
小さなカワセミがカエルの為に泣いている姿を見て、寂しいような、温かいような、なんだか胸のあたりが、もぞもぞもぞもぞし始めたのです。それに何より、『エメラルドのようだ』と誉めてくれるカエルの事が大好きだったからです。
あちらの岸では、竹林も泣きました。
周りに居た小石達も、カチカチカチカチ身を震わせながら、泣きました。
もし、あなたがその場面に立ち会っていたなら、きっと泣かずにはいられなかったと思います。あの青大将や、トカゲの子ですら、みんなの泣いているのを見ているうちに、ひどい事をしてしまったのだと思い、『ごめんなさい』と言って、わんわん泣いていたのですから。
もう、みんながみんな、声をあげて泣いてしまっていたのでした。
すると、その様子に気がついたお日様は、あんまりみんなが泣いているものだから、つまらなくなってしまいました。
そして、ちょうどすぐ側に居た雲の後ろにひょいと隠れてしまいました。
お日様は、本当にまったくつまらなくなってしまい、あろうことか、全然関係のない雲の背中に、腰に付けていたサーベルを突き立てたり、雲のお腹をぐるぐるかきまぜたりして、憂さ晴らしを始めました。
すっかり機嫌を損ねて意地悪になってしまったお日様に八つ当たりされた雲は、あんまりお腹をかきまぜられたものだから、痛くて痛くて体を真っ黒にして、
『痛い痛いっ!もうやめて下さい!せっかくの立派な金の衣がだいなしですよっ』といいました。
するとお日様は、『うるさいっ!つまらないお世辞なんかもうたくさんだっ』と言って、もっともっとぐるぐるかきまぜました。
雲は『痛い痛い!そんなにお腹をかきまぜられたら、電気の子らが怖がって飛び出してしまいます』と、いいましたが、そうしてるうちにも、どんどん真っ黒に膨れ上がっていきます。
『そうか、それも面白い、なら、もっとかきまぜてやろう!それっ!』
もう、そんなこんなで、雲も電気の子らもパニックです。そうしてしまいには、あんまり電気の子らが走り回ってしまったものだから、雲のおなかが「びりりっ!」と光ったかと思うと、「ぴっしゃーん」と破けてしまいました。
そして可哀想な雲はとうとう『うわーん』と言って泣き出してしまったのです。
ちょうどその頃、すっかり乾いてしまいそうになったカエルの背中に、雲の涙が、ぼたり、と落ちて来ました。それから泣いている小石達やシトマ川や竹林にも、ぼたりぼたりと落ちてきました。
どうもしばらく泣き止みそうにもない雲を見上げて、カワセミは泣き止みました。
すると、もうすでに息をしていないように見えたカエルの背中がぴくりと動いたかと思うと、『ふっ』っと小さなため息をついたのです。
カワセミは、ぱっと飛び上がり、嬉しそうにほっぺたをオレンジに輝かせ、『カエルさん、雨ですよ!雨に乗って岸の向こうに帰りましょう!』と、翼をパタパタさせて、カエルを元気づけました。
するとカエルも少し元気がでてきたように、静かに言いました。『あぁ、前よりは少し川下になるが、それもまた楽しいだろうねぇ』と、カワセミを見て少し涙を浮かべているようでした。
そして、シトマ川もすっかり泣き止み、エメラルドの両手にカエルを乗せると、大急ぎで向こう岸に運んであげようとしました。
小石達もカチカチカチカチ見送りました。
シトマ川はざんぶさんぶ運びます。小石達は調子を付けてカチカチカッチン見送ります。小石の中には少しだけ付き添って行くものもあったようです。
そして、すっかりいじけてしまった可哀想な雲はというと、東の山の向こうへ逃げてしまいました。
それを見てお日様は、きまり悪そうに、顔を真っ赤にして西の山へ帰ってしまいました。
あんまりお日様の顔が真っ赤になってヘンテコだったものだから、空はおかしくておかしくてたまらなくなり、吹き出してしまうのをこらえているうちに、今度は空の顔まで真っ赤になってしまいました。

        おーしまい。
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童話「カワセミの子とカエル」 2

『あぁ、、カワセミの子よ、、お前のその優しい気持ちで、痛みが少しやわらいできたような気がするよ。
火の点いたようにジリジリとしていた体が緑の風を感じる事ができてきたようだ。
私は本当に幸せなのかもしれない。遠ざかっていく大きな岩かげの代わりに、小さなお前が涙を流しているのが見える。ありがとう、ありがとう、。』
カエルはすうーっと目をつぶりながら、静かに話を続けました。
『しかし、いくら安らかな最期を願っても、元のように元気に泳ぎ回れる事を夢見ても、何がどうなるかは誰にも決められないことなんだろうねぇ、、』カエルは少し笑ったように見えました。そしてチラリと上を見て、
『トンビがあの橋の上から私を見つけてしまって、その時に腹が空いていれば食べてしまうだろうし、住処に待つ子供らにも分け与えるだろう。
それで私の命は終わるように見えるが、子供らの命はつながっていくんだろうね。
その中に私も溶け込んでいると思えば、そんなに悪い話ではないのかもしれないね。』
空を突き刺す杉の木の上をトンビはゆったり飛んでいます。カエルは言いました。
『それにもしトンビが私を見つけられなかったとしても、今度はお日様がまた、私の上を行くだろうねぇ、、。
この頃あんまり、ヒマワリや朝顔がお世辞を言っているもんだから、着飾った黄金を見せびらかせながら、「おおさまの黄金は、遠くで眺めて見るがいい。側に寄ったら目を潰す」なんて言って大いばりだからね。
私なんぞお日様から見れば、小さな点のようなものだから、踏んづけて歩くのも平気なようだ。そして、お日様の腰に下げた黄金のサーベルが、チクチクチクチク私の背中をかすめれば、私の背中なぞぴりりと裂けてしまうだろう。
だけど、それも仕方のない事なんだろうねぇ、。
そうだね、、仕方のない事だろうねぇ、。』
どこまでも青い空の上を、お日様はゆっくりと、金の衣を振りながら、ニカニカ笑って歩いています。
そしてカエルはもう一度目を閉じて、言いました。
『実を言うとねぇ、「そろそろ雨粒坊主らが降りては来ないかな」と、願ったりもした。そして意識が遠のいていくのを感じた時は、恐くて恐くて、このまま破裂して死んでしまいたいとも思ったもした。
だけどお日様がずっとご機嫌で、毎日パレードをしたいと言うのなら、きっとそれに従わなければならないだろうし。
お日様からしてみれば、世界が回っている中で、ちっぽけな私がここで消えようとしてるなんて事は、ほんのささいな事なのだと気がついたのさ。』
カエルはお日様のサーベルで斬り付けられた背中をゆっくり動かして『ふぅ、、』とため息をつきました。そして、悲しそうに笑顔を曇らせて、
『あぁ、、、だけれど、楽しかった毎日が終わってしまうのは、やっぱり寂しいねぇ、、』と言いました。

童話「カワセミの子とカエル」 1

カワセミの子とカエル

  緑の波を岸にぶつけながら海まで急ぐシトマ川の上を、カワセミの子供は今日も一人で飛行機のマネをして遊んでおりました。
「只今高度8000フィートに到着しました。それではこれより急上昇いたします。ぎゅうううううぅうっ!ぴたっ!素晴らしい青空にあぁっという間に到着です。
そうです、この飛行機、鉄の飛行機と違うのは、こうしてまるで、空の中に止まっているかのようなホバリングです。どうです?世界一高い展望室にいるようではありませんか?これがこのカワセミジェットの最大の特徴であります。思う存分遠くの方まで眺めてみて下さい。
そろそろよろしいですか?それでは、乗客の皆様、機内から飛び出さないように、しっかりベルトをお締め下さい、、、急下降いたします、それっ!」
カワセミはそんな事を言いながら、すっかり飛行機になったつもりで、満足気に飛び回っていました。
そうしている内にふと、下を見ますと、白く光りキラキラと両手をちぎれんばかりに振りながらカワセミのショーを見ている河原の小石達の上に、なにやらぽつんとこげ茶色の点があるのを見つけました。
カワセミは、「管制塔からの指示により、緊急着陸いたします。」と言ったかと思うと、くちばしをできる限り前へ突き出し、力一杯、小石達の歓声を浴びながら河原に降り立ちました。
するとそこに一匹のカエルがじっとうずくまっておりました。
よーく見てみると、それはカワセミがもっともっと小さい頃、やっと巣から出て飛行練習を始めたくらいに、止まり木にしていたツツジの木の下で、『上手い上手い!もう少しだ』などと言って応援してくれたり、時には、『よくがんばる子だな、えらいぞ。』と言っては、おやつをくれたりした、親切なカエルでした。
「やぁ、カワセミさん、どうにも楽しそうに遊んでいたようだが、もうおわりなのかな?」カエルは少し苦しそうな様子で、ノドを絞り上げるような声で訪ねました。カワセミは興奮さめやらぬとでもいうように、はっはっ、、と息をきらしながら答えました。
「いいえ、こんな気持ちのいいお天気なので、お日様が西の山に帰る時間になるまで遊んでいるつもりですよ。
でも、あなたの姿が見えたので、ここに降りてきたのです。どうしてこんなだだっぴろい河原の真ん中でじっとしているのですか?あなたのお家はあの向こう岸の岩の陰なのに。」
カワセミが不思議に思い尋ねてみると、
「やぁ、、そうだ、。あちら岸は藻がよくしげっていて、とても美しい所だから、帰りたいとは思うのだけれど、、どうにもこうにも、、。シトマ川の水があんまりエメラルドのようで、気持ちがいいから、調子にのってスイスイやっているうちに、たまたま通りかかった青大将に、足を片方持っていかれてねぇ。
フラーっとしているうちに反対側へ流れ着いていたんだが、、困ったなぁ、、と思っていると、悪い事にそこにトカゲの子供がやってきてね、面白半分にここまでひきずってきおった。
私の方が大きいものだから、ちょこちょこ噛み付くのがやっとで、食べる事はできなかったらしい。そんなだから、ここに私を置いたままどこかに遊びに行ってしまった、というワケなんだ」
よぅく見てみると、白く乾いた小石の上に、ざくろの実をこすりつけたような跡があり、たしかに片方だけ、短くなった足の付け根は、すっかり乾いているように見えました。
「まぁ、ひどい。それでは私が向こう岸まで帰してあげますから、、よいしょ、、」と、言ってカワセミはカエルをくわえようとしましたが、ぶにょぶにょ太ったカエルは大きすぎて、カワセミのくちばしでは持ち上げる事すらできないのでした。
「ふう、、、困ったなぁ、、トンビのヤツならきっと運べるでしょうが、とても口卑しいヤツなので、あなたを食べてしまうでしょうし、、このままここに居てはお日様と小石達があなたを温め過ぎて、ひからびて死んでしまう、、どうしよう、どうしよう、、」と、カワセミが困っていると、カエルはもうとっくにそんな事は諦めていたとでもいうように話し始めました。
プロフィール

りこ

  • Author:りこ
  • 12月24日生 山羊座のO型 高知県四万十市出身
    趣味の登山の話や日々考えた事やあった事なんかを、等身大で書き留めていく感じでやっていきたいと思います。
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