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童話「カワセミの子とカエル」 1

カワセミの子とカエル

  緑の波を岸にぶつけながら海まで急ぐシトマ川の上を、カワセミの子供は今日も一人で飛行機のマネをして遊んでおりました。
「只今高度8000フィートに到着しました。それではこれより急上昇いたします。ぎゅうううううぅうっ!ぴたっ!素晴らしい青空にあぁっという間に到着です。
そうです、この飛行機、鉄の飛行機と違うのは、こうしてまるで、空の中に止まっているかのようなホバリングです。どうです?世界一高い展望室にいるようではありませんか?これがこのカワセミジェットの最大の特徴であります。思う存分遠くの方まで眺めてみて下さい。
そろそろよろしいですか?それでは、乗客の皆様、機内から飛び出さないように、しっかりベルトをお締め下さい、、、急下降いたします、それっ!」
カワセミはそんな事を言いながら、すっかり飛行機になったつもりで、満足気に飛び回っていました。
そうしている内にふと、下を見ますと、白く光りキラキラと両手をちぎれんばかりに振りながらカワセミのショーを見ている河原の小石達の上に、なにやらぽつんとこげ茶色の点があるのを見つけました。
カワセミは、「管制塔からの指示により、緊急着陸いたします。」と言ったかと思うと、くちばしをできる限り前へ突き出し、力一杯、小石達の歓声を浴びながら河原に降り立ちました。
するとそこに一匹のカエルがじっとうずくまっておりました。
よーく見てみると、それはカワセミがもっともっと小さい頃、やっと巣から出て飛行練習を始めたくらいに、止まり木にしていたツツジの木の下で、『上手い上手い!もう少しだ』などと言って応援してくれたり、時には、『よくがんばる子だな、えらいぞ。』と言っては、おやつをくれたりした、親切なカエルでした。
「やぁ、カワセミさん、どうにも楽しそうに遊んでいたようだが、もうおわりなのかな?」カエルは少し苦しそうな様子で、ノドを絞り上げるような声で訪ねました。カワセミは興奮さめやらぬとでもいうように、はっはっ、、と息をきらしながら答えました。
「いいえ、こんな気持ちのいいお天気なので、お日様が西の山に帰る時間になるまで遊んでいるつもりですよ。
でも、あなたの姿が見えたので、ここに降りてきたのです。どうしてこんなだだっぴろい河原の真ん中でじっとしているのですか?あなたのお家はあの向こう岸の岩の陰なのに。」
カワセミが不思議に思い尋ねてみると、
「やぁ、、そうだ、。あちら岸は藻がよくしげっていて、とても美しい所だから、帰りたいとは思うのだけれど、、どうにもこうにも、、。シトマ川の水があんまりエメラルドのようで、気持ちがいいから、調子にのってスイスイやっているうちに、たまたま通りかかった青大将に、足を片方持っていかれてねぇ。
フラーっとしているうちに反対側へ流れ着いていたんだが、、困ったなぁ、、と思っていると、悪い事にそこにトカゲの子供がやってきてね、面白半分にここまでひきずってきおった。
私の方が大きいものだから、ちょこちょこ噛み付くのがやっとで、食べる事はできなかったらしい。そんなだから、ここに私を置いたままどこかに遊びに行ってしまった、というワケなんだ」
よぅく見てみると、白く乾いた小石の上に、ざくろの実をこすりつけたような跡があり、たしかに片方だけ、短くなった足の付け根は、すっかり乾いているように見えました。
「まぁ、ひどい。それでは私が向こう岸まで帰してあげますから、、よいしょ、、」と、言ってカワセミはカエルをくわえようとしましたが、ぶにょぶにょ太ったカエルは大きすぎて、カワセミのくちばしでは持ち上げる事すらできないのでした。
「ふう、、、困ったなぁ、、トンビのヤツならきっと運べるでしょうが、とても口卑しいヤツなので、あなたを食べてしまうでしょうし、、このままここに居てはお日様と小石達があなたを温め過ぎて、ひからびて死んでしまう、、どうしよう、どうしよう、、」と、カワセミが困っていると、カエルはもうとっくにそんな事は諦めていたとでもいうように話し始めました。

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プロフィール

りこ

  • Author:りこ
  • 12月24日生 山羊座のO型 高知県四万十市出身
    趣味の登山の話や日々考えた事やあった事なんかを、等身大で書き留めていく感じでやっていきたいと思います。
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