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ボンネットバスのお話 4

 おじいさんがハンドルをするするっとなでると、驚いた事にさっきまでガチャガチャした街の中に居たバスはいつの間にか真っ暗な山道を走っているのでした。
真っ黒い腕をどこまでも広げて覆い被さる木々、どこからか聞こえるフクロウや野犬の声、月の無い空には雲が広がりにぎやかな星たちも今日はしんみりとしています。バスはおっかなびっくりでその山道を登っていきました。
いったいどれくらい高く登ったのでしょう。だんだん細くなっていった道は、とうとう人間の子供が一人通れるか通れないかくらいになってきました。けれど不思議な事にそれでもバスはその道を進む事ができたのです。そしてしまいには、どこが上だか下だかもわからなくなり、ぐるぐるぐるぐる目も回り、針の先ほどの道に吸い込まれるように進んでいきました。
 夢を見ているような気持ちで走っているとふいに『さあ、着いた』と、おじいさんの声が聞こえました。
 くらくらする頭をしっかりさせようと身体をぶるるんっとさせ、パッとライトで照らした先を見るとそこには石畳が螺旋状にきっちり並べられた広場がありました。広場の真ん中に白い時計塔が立っていて、おかしな事にはその時計の針は時間を戻すかのように、反対に回っているのでした。その時計を取り囲むようにして、いろいろな形の笛やおもちゃを置いているテント、飲み物を置いているテント、わたあめやりんごあめが置いてあるテント、他にもわくわくするようなモノがたくさん並んでいました。
 おじいさんはバスを同じように並べ、なにやら準備を始めました。どこから取り出したのかまず、看板を立てました。そこには、クロスと、丸をみっつ合わせて、大きな三角形の中にはめこんである不思議なマークが書かれていました。
それから大きな土の鍋を出して、その横に木でできた長テーブルを置きました。テーブルの上に分厚いビンが並べられ、その中には赤、青、ピンク、オレンジ、、いろいろな色の細い棒が入っていました。
 『さて、、』と言って、そのビンの中からピンクの棒を取り出したおじいさんは、それを土のナベの中に入れてぐるぐるっと5回ほどかき混ぜました。すると、持ち上げた棒の先にピンポン玉くらいのまん丸なキャンディーが付いてきました。透き通っていて透明なようですが、よく見ると虹のようにいろんな色が見えてきて、時どき銀色に光るようにも見えました。
そんなふうにしてあっというまにいくつも出来上がったキャンディーを、長テーブルの上に次々と並べていきました。
 バスは何が起こっているのかよく解りませんでしたが、出来上がっていく不思議なキャンディーを見ていると、本当に幸せなような気分になってきて、疲れていた身体が軽くなってくるのでした。
 おじいさんはたくさんのキャンディーを並べ終えると、今度はバスの中に入って来ました。そしてイスに座ってじっと外を見つめ、優しい声で『さあ、どうぞ』と言いました。すると、今まで誰も居なかった広場にたくさんの子供達が突然姿を現しました。

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りこ

  • Author:りこ
  • 12月24日生 山羊座のO型 高知県四万十市出身
    趣味の登山の話や日々考えた事やあった事なんかを、等身大で書き留めていく感じでやっていきたいと思います。
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