珍しく今日は早起きをした。
いつもなら二度寝に入る時間だったのだけれど、よくよく考えてみると今日は睡眠時間も充分に足りているし、どうせまた寝たところで、夢ばかりを見てぐっすり寝られやしないので、(実は異常な夢を見るのも楽しみの一つなのだけれど。)ここは一つ男前っぷりを発揮するため潔く起きてやる事にした。
しかし、こう時間があるとやらなくてはいけない事も沢山あるにはあるので、さぞ仕事もはかどろうもんと思うところだが、やりたくない。今日はやりたくない。気が向かない。嫌、絶対イヤ。いやや~、いやなんや~。と、ジタバタしながらサボる為の大義名分を得ようと画策した。
まあ、家事をやればいいのだが、迅速丁寧な私の家事っぷりだと、そんなのはすぐに終わってしまう。案の定、終わった。
今日の家事ノルマは達成した。
さてと、もっと明確で画期的で有り難がられる大義名分を探さねばならん、と思った私はふとタンスの中で朽ち果てていきつつある赤いジーンズの事を思い出した。
捨てるのは勿体ないし、他人にあげるにしてはくたびれているあのジーンズ。
そして私はリフォームを決意し作業に取りかかる事にした。
採寸や計量と言う目盛りや数字に縛られるやり方は好きではないので、私はロマンティックにジーンズと会話しながら鋏を入れた。
いいかい、ここだ、そう、ここをこう切れば君はもっと素敵になるんだよ。
さあ、怖がらないで、僕の鋏に身を任せておくれ。くへへ。
ただ面倒くさいから適当に切っている訳でも無い事も無いと思われる様な気もするけどでもどうでしょう?と言っている間に奇跡の裁断終了。
ジーンズ素材だからという理由で端の処理もしない。
洗濯してほつれるくらいがクールなんだぜ。
そして、かたかたかたかたとミシンを低速運転し、仕上がったのがこれ。

奇跡の裁断に寄る、奇跡のバランス。くははっ。
あ、これね、肩掛けバッグですのよ、一応、参考までに申し上げますとね。
こうして私の午前は後ろ指を指される事も無く、平和のうちに終了したのでした。