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サービス精神により

肋骨って物はいったいどのくらいの加重で折れたりするものなのだろう。

最終電車の時間が迫る、金曜日の深夜。
すでに超満員の列車のドアが開いたままになっている為、次から次へと人が詰め込まれて行く。
週末のお決まり、電車のトラブル発生直後。

このまま復旧の見込みも解らないままここに居なければいけないのか。
もはや自分の足で立っているというよりも、周りの人に持ち上げられてそこに宙ぶらりんになっているような感覚。

ああ、息も出来ない。

肋骨が折れたら、呼吸をする度に痛みが走ると聞く。
日雇いの歌手とは言え、お金をもらっている以上下手な歌は歌えないし、
肋骨が痛むからと言って仕事に穴を空ける訳にもいかない。

肋骨が折れたり、貧血で倒れてしまう前にこの場から脱出せねば。。

幸いにも私の前に居る人は先ほどから周りに気を使うように一生懸命体制を整えようとしている紳士だ。

目を丸くして弱々しくその紳士にお願いした。

「すみません、気持ちが悪くなりそうなので、降りたいんですけど。。」

奥の方に居た私達は、遥か遠くにぽっかりと開いているドアを見た。

「ちょっと難しそうですが、、。」
紳士はそう言いながらも周りの人に声を掛けてくれた。

「すみません、気分の悪い人が居るので降ろしてあげて下さい!」

すると、どこからか、「そりゃそうだよ。」
「こんなに混んでんのに、まだ乗ろうとするヤツも居るしな。」
といった声も聞こえ、車内がざわめき始めた。

少しずつ空間が開けてきたのだが、それでも酔っているせいか、
無関心なせいか動こうとしない人も居て、ドアへと辿り着くには少々距離もある。
人波を押しどけて出るのは嫌なので、すいませんと声を掛けつつ進んでいると、

「みなさんの協力が必要です!どいてあげて下さい!」といった言葉が飛び交い始めた。

私は殺伐とした車内の中で、こんな正義感や思いやりに触れると思ってもみなかったので感動しつつも、どうも自分の思っている以上に事態が大袈裟になり始めている事に気が付いた。

少しずつドアに向かう私にいろんな種類の視線が向いている。

なんだか、こうなってくると、せっかく私に道を開けてくれた人や、声を掛けてくれた人の
ぼんやりとした期待に応えなくてはいけない様な気がして来た。

彼らが家に帰って電車遅延の話題を誰かに話す時、

「中には具合の悪くなった人もいてさ~、降りる時に周りに声をかけて大変だったんだよ~。」なんて流れにもなるかもしれないじゃない?

そうすると、私の具合が悪そうであればある程、その人達の正義や親切は輝きを増すのである。

私はいかにも具合悪そうに、胸を抑えながら進み出て、ドアから出るなり
はたりと座り込んだ。


座り込む程じゃないんだけどね。

「気持ち悪い」んじゃなくて、「気持ち悪くなりそう」なだけだったからね。

実際何度も、この時より気持ち悪くなったり、混んでもいないのにあと一駅って所まできて我慢できずに下車したり、そういった場面は過去あったので、自己管理という意味でリタイヤ申告をしただけなのだけれど。

私は、その人達の「具合の悪い人を救っているんだ」という善意に対して、最大限期待に応えなくてはいけないという義務感を感じてしまったのです。
結果、いかにも「ワタシ具合悪いです~。親切な皆様、どうもありがとうございます。」、といった体勢を取り、しばらくじっとしていた。


本当に、思い出せば出す程に、自意識過剰でどうしようもなくいやらしくて赤面してしまうくらい恥ずかしい話でございます。

その後、あれこれ考えを巡らせた結果、乗り継ぎ駅までの二駅をすたすた歩いて行く事にした。
実は元気良くすたすた歩けます。ごめんなさい。

殆ど人の歩いていない東京駅までの道程は気味が悪いくらい静かだったけれど、
人いきれにあたっていた私には妙に心地良く感じられた。












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非公開コメント

色々と大変なんだよねぇ。
わかるよ。(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン

あ、分かるわぁ。
でも優しい人って思ったより結構いるのねぇ。

気を使うポイントを間違えている事は解ってるんだけど、ついね。>ネットくん

特にああいう場面ではみんなカリカリしてて喧嘩になる場面もよく見るから、まさかの親切にすごい感動した。>きーよん

東京って怖いな。

あんな、この後ホームでしばらく休んでる間にどんどん人が増えて来て、別の電車に乗り込もうとする人達が波のように押し寄せて来て、その流れから逃れようと抵抗するんやけど、まるで戦火から逃れる民衆の混乱みたいにヒステリックにぐちゃぐちゃになってて、乗っちゃいかん電車に押し込まれそうになった。怖かった。東京は生命力の強い人しか住めん街や。>あきラー
プロフィール

りこ

  • Author:りこ
  • 12月24日生 山羊座のO型 高知県四万十市出身
    趣味の登山の話や日々考えた事やあった事なんかを、等身大で書き留めていく感じでやっていきたいと思います。
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