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繋ぎたいから繋がる縁ばかり

「シェリーちゃんはさ、クラッシュとピストルズ、どっち派?」
運転席でハンドルを繰りながら、彼女は唐突な質問を投げかけた。

「う~ん、やっぱり、クラッシュやろ。」

「じゃあさ、クールスとキャロルやったらどっち好き?」

「う~ん、どっちも別に好きやないけど、全体のイメージから言うと、キャロルの方が骨太な感じするな。」

20歳過ぎた女子の会話。
中学生で終わらせておけよ、という内容の話を、出会うのが少しおくれた二人の女の子が
犀川に沿った道をあても無く自動車を走らせながら交わしていた。
しかも、私のリーバイスの尻ポケットにはハーレーの皮財布が入っており、
何が目的なのかよく解りかねるちょっとしたロックンローラーにかぶれかけたヤツ丸出しで。

本当のパンクスにこの話を聞かれていたら、そんなヤツがクラッシュを語るな、と、さぞ白い目で見られていた事だろう。

私を「シェリーちゃん」と呼ぶこの彼女は、私より一才年上の歌の上手いお洒落ガールだった。
私よりもより音楽に傾倒していて、センスも良く、ちょっと皮肉を含んだ物言いと、
隠し切れない完璧なまでの上から目線、痛みを知っている優しさを持っていた。

そんな彼女と知り合ったのは初めてプロとして人前で歌ったあの日の事だった。
彼女は私に興味を持ったらしく声をかけてきた。
人見知りの私がまだ壁を作っているにも関わらず、彼女はノーガードで
私の守備範囲に入り込んで来た。
まだそんなに親しくなってなかったある日の事、
「ウチの作るオイキムチが美味いんや。」と言って、オイキムチとごぼうの辛い総菜を作って来てくれた。
アパートに帰り、透明のパックに入ったオイキムチとごぼうを目の前に広げ、
初めて見る食い物に、恐る恐る手を付けてみた。

辛ぇ、。
世界は広いぜ。

「オイキムチ」という単語を知ったのは彼女のおかげで、それ以降、焼き肉屋等で「オイキムチ」という単語を見ると必ずこの日の事を思い出し、そして、オイキムチを注文する。

そんな風に、人の懐にどかどか入って来るもんだから、自然と仲良くなって来たある日、
「おい~、~~~へ行こうぜ~。」(どこに行こうとしたのかは忘れた。残念。)
と私が言うと、
「言葉の最後に『ぜ』を付ける人、漫画の中でしか見た事無いわ。」と驚いていた。

な、世界は広いやろ。『ぜ』を自然に使いこなす人もおるんやぞ。と、思ったけれど、
それ以来、『ぜ』を使うのがちょっと恥ずかしい気がして使わなかった時期があった。

彼女とはコンビニ弁当を食べながら車の中から桜を見たり、通りすがりの薬局に置いてあったサトちゃんの置物を「布団干すのにええわ~。」と言ってちょっと借りて来たり、どういう理由だったかは忘れたが「チマチョゴリを着せてやる。」と言って、メイクと着付けして写真を撮ってくれたり。
そう言えば、めちゃくちゃ似合ってたな、チマチョゴリ。自分で言うのも何だけど。
実家の焼き肉屋に連れて行ってくれたり、今思えば、たくさんの大切な事を与えて貰ってばかりだった気がする。
あの頃私は一体、彼女に何をしてあげただろう。。

そして、私がいよいよ体を壊し、残り一ヶ月で仕事を辞めしばらく実家に帰ると決まってから、
彼女は私のアパートに住み始めた。

会社の借りているアパートなので、引き継いで住む事にしたという。

一つ布団で一緒に寝る生活。
同じ生活ペースなので問題は無いし、この土地で唯一見つけた気の合う友達と最後の一ヶ月を過ごすのが嬉しくはあったのだが、一つだけ私にとっては大きな大きな問題があった。

彼女はレコードプレイヤーを嫁入り道具のように、部屋に持ち込んだ。
それがいけない。

毎晩毎晩、「さ、寝ようか」と言って、枕元にセッティングしたプレイヤーでレコードに針を落とす。

基本的に今では耳栓愛好家、少しの音でも眠れない神経質な私が、寝る時に音楽を聴く等もっての他で、彼女が寝付くまで私は眠れず、起きていなければいけない。

悪い事に彼女の選曲は、毎晩、毎晩、毎晩、毎晩、、、、、ああ、、、思い出しても気が狂いそうになるのだが、毎晩、
「やっぱり、ヒデキはサイコーやわ。ヒデキはええわー。」と、本当に毎晩、西城秀樹をかけた。

ヒデキは確かにサイコーだし、ええと思うけど、どちらかと言えば寝起きに元気に聞きたい選曲。
寝る前に枕元でヒデキ。

ヒデキを見る度、この頃の事を思い出します。

反省して下さい。


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No title

なんだか文章だけ読んでたらトリッキーな感じを受けますが、
反省するほどではないと、思ひまふ。

No title

ふふ。たまには反省しろ。

No title

面白くて読み入ってたら、最後のヒデキのとこは面白過ぎて声を出して笑ってしまいました。
先日、カテゴリーの中の「人に歴史あり」の中学~川崎ケントスまでの分も読んだばかりでして。
実は私も、りこさんと同じ様な仕事をしようと真剣に考えていた時期があったし、日記から推測するに、りこさんと私(48年製)は同世代だと思われるので、余計に感慨深く読ませて頂きました。
だから、思い出した過去のも楽しみにしてますよ。

No title

まあ、りこさんは西城秀樹より松井秀喜派だもんね~
やっぱり男はホームランを打ってナンボだからね。

No title

こたつに秀樹にと、色々な思い出を持ってますなー。
その内、植物の「根(ネ)」を見ると、「ネットくん」を思い出すようになるのではないでしょうか!(・e・)

No title

あら!そうなんですか??私は47年製なので、同じ学年か一つ違いですね。それは時代考証もありありと目に浮かんで共感していただけるかと思います。しかし、やっぱり記憶って物は断片的にしか残っておらず、同じ事を何度も思い出したり、忘れた事は何度友達から「こう言う事があったよね~。」と言われても思い出せません。自分のやった悪さとかは覚えてますが、。ま、それは書けません。。> みなっち(王耳な子)さん

いや~、ヒデキなら西城の方がやっぱりいいかな~、、というか、野球に全く興味が無い事を知っての洗脳作戦ですか?その手には乗りません。男はホームラン打たなくても大丈夫なタイプなんで。そう言えば前に言ったかもしれませんが、清原が「覚せい剤打つならホームラン打とう」と以前警察のポスターで言っていました。ホームラン打てる人はそんなに居ないと思うので、挫折して覚せい剤打っちゃう人が続出しないかとヤキモキしました。>あらないさん

ネクタイを見るとネットくんを思い出します。なので、新橋を歩いていると、街にはネットくんのキーワードだらけです。>ネットくん

ネクタイ?

遊び人風フリーターになって以来、ネクタイはしていません。。。
と言う事は、「ネットくんを忘れたい(わ)」の意味?(T^T)(笑)

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プロフィール

りこ

  • Author:りこ
  • 12月24日生 山羊座のO型 高知県四万十市出身
    趣味の登山の話や日々考えた事やあった事なんかを、等身大で書き留めていく感じでやっていきたいと思います。
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